ブランドとパーパス。

製品やサービスには必ず名前がある。一般名称に加えて、固有名詞がついている。
特に、人気の商品には、覚えやすく、音の響きもいい名前がついている。
パッケージも良く、思わず手に取りたくなるような工夫も凝らしている。
そして、その名前とデザインがセットとなって、ブランドとして認知されているのだ。

ただ、よくよく考えると、ひとつの製品やサービス単体でのブランドは意外と少ない。
ある製品やサービスが人気となったら、別の製品やサービスを品揃えに加える。
そして、その認知度の高いブランドを活用し始めるからだ。群でブランドを使う。
さらに、製品やサービス群としてのブランドはその企業の考え方を象徴するものになっていく。

初めは製品やサービス群だけに当てはめていたが、次第に企業活動や従業員にも当てはめる。
ブランドの意味合いが、パーパス、企業の存在意義へと広がっていくのだ。
社会でこれを実現したい。それに役立つ製品やサービスを揃える。社員も活動する。
具体的な製品やサービスが起点であったブランドが、企業の構想起点に変わったのだ。

群のボトムアップで作り出したブランドが、トップダウンでベクトルを合わせる道具になった。
そして、ブランドという言葉を使わずに、パーパスという言葉になったのだと思う。
ブランドマネジメントで、ブランドの効果を最大限に高める取り組みは以前よりあった。
ブランドの使い方や表現の仕方における齟齬をなくす活動がさらに進化したイメージだろう。

ブランディングが進化したパーパス経営。企業全体の活動へとその対象が広がった。
ブランディングの上位概念であるマーケティングも、基本的に顧客を見た活動だ。
一方、パーパス経営は自らを顧みることを求めている。従業員も顧客に見せる対象だ。
見せるだけではなく、消費者、供給者の境なく一緒にパーパスを追い求める活動かもしれない。