酸素

無色・無味・無臭のガスで、空気の約21%が酸素だ。人は酸素に囲まれている。
いろいろな物質と反応し、それらを酸化したり、燃やしたりする。
呼吸をする「人」にとっては、無くてはならないものである。その一方で有害でもある。
酸素も要は使い方次第で、良いものにも悪いものにもなるということだろう。

他の物質と同じように、酸素は液体や固体になる。但し、極低温での話だ。
残念ながらこれまで生きてきて、酸素の液体や固体にお目にかかったことはない。
空気の主要成分の窒素、少し混じる二酸化炭素なら、液体や固体に触れたことがある人も多い。
液体窒素は、科学の実験でよく登場する。固体の二酸化炭素はドライアイスだ。

物流は社会の血液に例えられることが多い。必要な荷物を必要なタイミングで必要な場所に運ぶ。
まさに人間の体内で日々行われていることと同じだ。では酸素は社会にとってどんな存在だろうか。
焚き火に酸素を一気に吹き込むと炎が立ち上る。慎重に吹き込むと、必要な火の大きさにできる。
ふと、科学の実験を思い出す。空気を吹き込むのと、酸素を吹き込むのでは大きく異なった。

酸素は、モノや物事の活性度をコントロールする存在と言えるだろう。巧みに吹き込むことが大事だ。
いつでも周囲に存在している。無くすことの方が難しい。そんな中で、上手く活用していく。
酸素の使い手は何に注意を払えば良いのか。その時、その社会にとって必要な酸素量はどのくらいか。
必要な部分に必要な変化を生み出す。変化を加速度的に起こす。こんなデザインが必要になると思う。

変化を起こすのだから、その変化は良い変化だけとは限らない。悪い変化も想定する必要がある。
良い変化を加速度的に起こした事による副作用があるかもしれない。これはミニマムにしたい。
できれば、ある部分に起こした良い変化が、別の場所での良い変化につながる工夫をしたい。
酸素の力に手触りを持ち、社会にとっての有益な酸素になるべく、俯瞰力をもって事にあたりたい。