京都の夏の風物詩の1つになっている納涼床。鴨川、貴船、高尾などで楽しめる。
通常は5月から9月末までの開催だが、今年の鴨川では昨日が最終日だったようだ。
十分に楽しめなかった納涼床を、緊急事態宣言が明けた今、久しぶりに味えるようになった。
10月末だというのに暑さも残っていたので、最終日を満喫した人も多かったと思う。
納涼床は、川床とも呼ばれる。但し、場所により読み方がかなり異なるのだという。
鴨川ではシンプルに「ゆか」だ。何か風情を感じる。貴船や高雄では「かわどこ」だ。
以前、鴨川で「ゆかにされますか」と言われた時、全く分からなかったのを思い出す。
大阪の北浜にも川床があるのだが、ここでは「かわゆか」と両方とも訓読みとなる。
川床の起源はどうやら明治時代以前のようだ。まちの住人の創意工夫で始まったのだ。
川の上や川のよく見える位置に座敷を作り、料理を提供するとなんとも心地よい。
おそらく、商売が繁盛したのだろう。それが近隣に広がり、川床のエリアが生まれた。
更に口コミで来訪客が増え、欠くことのできない文化として定着していったのだ。
河川法ができてからは、川床を設置するには認可が必要になった。川に張り出すからだ。
半永久的に設置することも原則禁止されていた。でも、次第に景観・空間の力が認知されてきた。
2002年には政府の都市再生本部による規制緩和の議論が始まり、2004年に社会実験が始まった。
2009年には大阪北浜に「北浜テラス」の常設が始まり、納涼床が全国に広がっていった。
都会では自然との触れ合いが減っている。心を落ち着け、ゆっくりと寛ぐ時間が必要だ。
川のせせらぎ、心地よい風、一面開けた景色。川床は五感で楽しめる貴重な場所だ。
特に川床での夜の食事はなんとも趣がある。優しい灯りが気持ちを穏やかにする。
街並みは生きている我々が紡ぐもの。心にゆとりを持って、未来を作っていきたいと思う。