大学時代に使っていたコンピュータは、すごく高価だったけれど、色々なことを手伝ってくれた。
パソコンと呼んでいたものはメモリーも少なく、増設という手段はあったが、これも非常に高価だった。
メモリの容量が限られている中で、節約術なるものもたくさん出回っていた気がする。
ハードディスクも高額だった。サーバーに保存するという常識もなかった。とても懐かしい。
今のコンピュータはメモリもハードディスクもほぼ制限なく使える印象が既にある。
容量の桁が何桁も違うから昔とは比べようもない。ファイルの共有もフロッピーを使う必要がない。
こう振り返ると、人の生み出す道具の進化のスピードはとんでもなく速いと改めて思う。
一方、その間に人の持つメモリーやハードディスクは増えてはいない。道具が変わっただけだ。
世の中では、色々な技術や考え方が生まれ、次々に新たな価値やビジネスを生み出している。
以前ならば、尖ったものが1つあれば需要が生まれたが、今は幾つかの特徴の合わせ技が多くなった。
それだけ色々な価値が氾濫して、差別化を生み出すことが困難になってきたように思える。
だからどうしても一番分かりやすい価格の安さを特徴に打ち出すビジネスが多くなってきている。
目標にしたいのはあくまでも新たな価値を生み出すことだ。高い価格を設定できるものが良い。
そのために大事なのは、今まで遠くにあった、出会うことのなかった技術や考え方を揃えることだ。
今ある価値をそのまま記憶するのではなく、分解して要素技術や「要素考え方」にしておくことだ。
できれば、どんな価値に使えそうかのタグ付けをして記憶しておく。そのタグ毎に引き出しを作る。
其々の要素技術や「要素考え方」は、1つの引き出しに収まらない。複数の引き出しに入っていく。
人が価値と感じるものは、どんな産業や分野の商材でも大きくは変わらない。共通のものだらけだ。
人の感情を動かすものだからだ。この感情を動かすこの価値といった具合に紐づけることができる。
世の中を広く捉えて、価値起点で技術や考え方の引き出しを作る。人のメモリーの節約術だと思う。