脳の使い方

コンサルティングのプロジェクトで現場の最前線にいた頃、不思議な感覚があった。
集中してやれば、疲れは吹き飛ばせる。調子に乗っている時はそのリズムを最大限続ける。
そんな力任せな仕事の仕方が自分のスタイルだったように思う。20年前は時代もそんな時代だった。
圧倒的な量の調査、分析に基づいて、ストーリーと資料を作り上げることで、価値を大きくしていた時代だ。

2000年代後半になると、スマートに働くという概念が出てきた。役に立つこと以外はやらないという感覚だ。
泥臭くやることに重要性や好みを置いていたので違和感だらけだったが、少しずつ働き方が変わっていった。
いかにゴールを先に描くか、分析・調査をできる限り少なくしてゴールを描くことに重きを置いた。
もちろん、詳細なゴールではない。でも、どんなに調べた後でも、本質的に変わらないゴールを追求した。

プロジェクトでは、時間と共に、その本質的なゴールの具現化や詳細化をやるイメージだ。
抽象度の高いゴールを少しずつ、細部に亘って具体度をあげていくプロセスだ。ここは難しかった。
本質的なゴールを自分で考えるのも大変だし、メンバーに伝えるのも大変だった。なにせ具体が無いからだ。
懸命に伝えようと、具体の例を出しても中途半端で伝わらない。なぜ、それがゴールかの説明も難しい。

考え方のベクトルが真逆だった。「分析から答えを導き出す」と「答えの正しさを具体で示す」の違いだ。
情報を集めて分析せずにどうやって答えを出せばいいのか?こんな問いに常に晒されていた。
いまだに、その答えをはっきりとは言えない。でも、たくさんの妄想や構想を同時に考えているのは確かだ。
その中から、筋の良いものを探している。視野を広げたままで、登場人物全員の想いになる努力をしている。

振り返ると、思考の次元や立体を大きくする努力をし続けている気がする。遠距離に相似の概念を当てはめながら。
あそこでこうなるなら、ここでもこうなるはずだ。土地勘のないところでも拠り所になる。相似の概念。
大きなものから考える。より大きなものに周りを取り込む。より大きく考える。こんなことが必要だと思う。
そうすることで、妄想力や構想力が強化される。常識の積み上げで作る答えから離れる勇気を持ちたい!