塩がやばい。

昨日から四国に来ている。いまは一連の旅程を終えて、羽田への機内の中だ。
日本一の塩に出会えるというので、昨日はとてもワクワクしていたが今も続いている。
塩の概念を根底から覆された。作るというより、育むに近い感じがした。
これまで誰もやったことのない奇想天外のやり方で、新たな文化を作っていた。

1時間半ほどの説明と塩づくりの現場観察。これがとてつもなく良かった。
説明ではなんとも分からなかったことが、現場に行くと頭の中にどんどん入ってきた。
塩にはミネラルが入っている。その割合で味が変わる。塩の結晶の大きさで舌触りが変わる。
この辺までは頭で分かっていた。でもそれをコントロールできるとは全く思っていなかった。

50cm四方くらいの区画で塩を揉む感じで作る。原料は基本同じ海水だ。3ヶ月掛けて作る。
塩との対話をすっと続ける感じだ。味ではなく、見た目や手触りで判断している。
味より日々の感覚のゆれが圧倒的に少ないのだという。味は体調によって変わるからだ。
一定のレベルまで対話ができるまでには少なくとも3年くらい必要のようだ。

コントロールしているのはまだある。結晶の中にミネラル以外のものを閉じ込める。
出汁と表現していたが、なんでも海水につけておくことで、その成分が海水に染み出す。
それを対話の中で結晶の内部に取り込んでいく。ミネラルと同じ原理かは分からないが確かに入る。
なぜなら、できた塩を舐めると、最初はほぼ塩の味。その後から出汁の味がやってくるからだ。

頭には色々なイメージが湧いた。塩の結晶ができるメカニズム。それが大きくなっていく様。
その中にカルシウムやマグネシウムが入り込む隙間。出汁とミネラルの粒径の違いなどなど。
温度と大きさを対話から感じ取り、目的のものを試行錯誤の中で結晶の内部に配置していく。
ミネラルや出汁、そしてもちろん塩の気持ちになって、旅をしたくなった。とても楽しい。