文字通り捉えると、文化的な観光。こんなふうに感じる人が多いと思う。
アミューズメントパークやドライブに行くのではなく、文化的な施設を巡る観光だ。
でも、文化庁の定義を見ると、文化振興の好循環を回すことと定義している。
好循環とは、文化振興に始まり、観光振興、地域活性化、文化振興への再投資へを繰り返しだ。
ということは、観光が目的ではない。あくまでも目的は文化振興と捉えることができる。
観光振興や地域の活性化は、そのプロセスにおける手段だと言っていいように感じる。
文化振興にはお金も必要なので、観光や地域の活性化で稼いだお金を文化振興に回す。
そうすることで、文化がより盛り上がるということだろう。でも意外と難しい。
観光や地域の活性化というと、稼げるのは観光業者や地域の商店だ。文化とは距離がある。
もちろん、文化資源を活用したのであれば、その対価を支払うことで文化に還元できる。
でも、単純に文化資源を眺めるだけでは、文化に触れる感動も少ない。ご利益が小さいのだ。
すると、文化への還元は小さくなる。いつのまにか、観光が主役になり始めるのだ。
では、文化振興が進んだ状態とはどんな状態だろうか。文化に関わる人が増えている状態だ。
そうした人たちが、日々、文化資源の保護と活用に取り組んでいる状態だと思う。
この状態をどういう風に生み出したらよいのだろうか。何をすべきかは意外とシンプルだと思う。
その文化を深く知ってもらい、好きになってもらう。日々の生活の中に取り込んでもらうことだ。
生活に取り込むレベルは色々あっていい。頭の片隅に教訓として置いておく。
自分も手を動かしてやってみる。プロとして生計を立ててみる。支え手として役立つ。
こうした人を増やすべく、さまざま活動のベクトルを揃えることが大事なのだと思う。
こうした活動を見せる中で、お金を稼ぎ、活動の原資とする。こんな姿が文化観光だと思う。