3Dプリンターのある世界。

この技術に出会ってもう少しで10年くらいだろうか。だいぶ世の中に浸透してきた。
最初は樹脂だけのものかと思っていたが、今では金属もプリントできるようになった。
目の前で、技術進化のスピードを体感できた技術だ。現場に行くと驚きの連続だった。
最も驚いたのは、金属のコマだ。でもただのコマではない。回すと形が変わるコマだ。

回転軸はあるのだが、外周部は鎖帷子のような布状だ。触るとふにゃふにゃと変形する。
机の上に置くと、外周部はふにゃっと机に接するが、回すと遠心力でピンと浮き上がる。
止まると再びふにゃっと机に接する。プリントに半日掛かるというがとんでもない代物だ。
初めてみる人はみんなそれがコマだとも分からない。ましてや作り方など想像できない。

3Dプリンターの良い点は、その加工方法から来る。まずは材料を無駄にしないこと。
従来の加工方法とは違って、削り出すことはない。つまり、使った材料がそのまま製品になる。
また、従来の加工方法ではできない設計で、製品を軽くできるという利点もある。
これにより、使用する材料を減らせるだけでなく、使用時のCO2の排出量を抑えられる。

この利点は、なにも使用材料やCO2の削減にだけ効くわけではない。新たなデザインをも生み出す。
コンピュータで自動で設計させる方法も生まれた。新たなクリエータも生まれている。
そういえば、これまでにないデザインの家具を作っている会社にも刺激を受けた。
コンテナで移動できる超大型の3Dプリンターを自ら開発して、独創的な家具をプリントしている。

リサイクルの取り組みもある。使用済みの樹脂加工製品を破砕して、原料として再利用する。
まだリサイクルする材料には条件が多いが、今後は街の中で樹脂材料が循環する世界が生まれそうだ。
そういえば、自助具づくりもリサイクル材料で行われている。例えば握る力を補完する道具だ。
まだまだ応用範囲は広がっている。未来の社会では一家に一台なんてことも容易に想像できる。