本質への昇華

DXを進める。まずはできることから素早く成果を出したい。いい動きだ。
目の前にあるペインポイントに着目して、ミクロに解決していく。
素早く解決できると楽しい。でも、ジャンプしたければ、次の一手が不可欠だ。
幾つか成果を上げたら、腰を据えてしっかりと現場に向き合ってみるのが良い。

建築や土木の現場でDXをやるとしたら、一番最初にすべきことは関係者の整理だ。
上空から見て、施工前から施工中、さらには施工後までの間に関わる人を特定する。
その仕事を頼んだ施主。それを受けた施工主。施工主が雇う専門業社。まだある。
現場で働く人だ。老若男女、様々な役割を担う人がいる。かなり多様だろう。

それだけではない。現場を見ている人がいる。聞いている人がいる。嗅いでいる人がいる。
要は、周辺の住民だ。現場というのは日常にない作業をやる場所だ。異常を混ぜる。
その異常がもたらす影響を最小限にする必要がある。分散させて、時間を選んでやる。
作業に没頭するとついつい忘れる。でも関係者すべての嬉しさの総量を高くするのが大事だ。

つまり、現場DXの本質は、誰もが嬉しい現場だ。施主にとっては良いものを安く早くだ。
高い生産性で高品質の仕事を期待している。時間単価は高いかもしれないが、総コストは下がる。
施工主としては、いい人材が集まり、モチベーション高く高品質に作業を進めてくれることだ。
働き手も、肉体的な負荷が高くなく、自分の能力がみるみるうちに伸びていく現場は最高だ。

周辺住民には日常に異常が混じる量やインパクトを低減する。異常の元をなるべく少なくする。
異常が届かないように工夫する。工程の組み替えや現場と周辺環境の遮断など工夫がいる。
どんどんアイディアが出てくる。みんなが嬉しい現場という本質が言語化されたからだ。
実は関係者はまだいる。資材運搬業者、産廃業者。一度、本質に溢れる現場を描いてみたい。