木工旋盤

月一で通っている篠山で新たなサークルが始まった。木工旋盤のサークルだ。
山を持っているきこりさんに加えて、プロ中のプロ、家具職人が先生だ。
旋盤といえば、30年近く前に遡る。材料技術研究所で金属を削っていたのを思い出す。
高速で動く回転軸に削るものを取り付けて、バイトという刃物を当てて削っていく。

今回の木工は、原理は同じだが、大きく異なることがあった。バイトを手で持つことだ。
金属を削る場合は、バイトを治具でしっかりと固定して、少し離れたところから遠隔操作する。
一方、木を削る場合は、手でバイトを持って、高速で回転する物体へと手動で当てていく。
削るものの近くに台座のようなものを置いてバイトを固定させるものの、手の加減が肝だ。

サラダボールを作る。最初はおっかなびっくり刃を近づける。当たると結構な振動が伝わってくる。
刃の当て方にも向きがあり、軸の中心から外へ、外から中心へと手首も使いながら削る。
横になった8の字を描くように手首を使う感じだろうか。コツを掴むのがなかなか大変だ。
ちょっと油断すると、刃の向きがダメで、高速の回転に巻き込まれ、刃が削るものから外れる。

削る場所や量に応じて、バイトを使い分ける。先生に言われるがままにバイトを変える。
刃先に神経を集中して削るのがやっとで、バイトを持ち替える時は、かなり気が抜けている。
気づくと、あまり話も頭に入らないまま、削り始めて、このバイトを使う理由すら記憶にない。
少し慣れてくると、思うように形を作れるのに気づいた。だんだん楽しくなってきた。

その後、削り出しは順調に進んでいた。そんな時、事件が起きた。パン!と大きな音が出たのだ。
バイトを持つ手が飛ばされた。音以外は何もなかったが、回転を止めると悲劇が待ち受けていた。
サラダボールの端の一部が欠けたのだ。調子に乗って回転スピードを上げ、刃を強く押し付け過ぎた。
でも、めげずにやすりがけもしてツルツルに仕上げた。カップができるまで何度でも挑戦したい。