棒サッカー

1-2年前だったか、衝撃を受けたスポーツがある。
Youtubeで見た棒サッカーだ。高齢者を中心に盛り上がっている。
細長い長方形のコートの両脇にたくさんの椅子が並び、両チームの選手が交互に座る。
長方形コートの短い辺、つまり両端にそれぞれのゴールがある。そこをめがけて戦う。

ボールを操るのは「足」ではなく「棒」だ。
選手は椅子に座ったまま棒でサッカーボールを相手のコートめがけて力一杯弾く。
自分の持つ棒が届く選手だけ、ボールに触れられる。
自分の前にボールが来るのを心待ちにしているのが手に取るように分かる。

何が凄いか。座ることができて、棒を動かせれば誰でも参加できる。
なのに異常に盛り上がっている。それぞれが生き生きしている。
おそらく、身体能力に依らず必ず自分の出番が来るからだろう。
目の前のボールに届くのは自分と敵の1人。敵のゴールを目指して、ボールを弾く。

良く見ると、椅子からお尻を浮かせてしまっている人もいる。
なんとかボールに触れようと夢中になって、体を伸ばしているのだ。
足に相当の力が入っているに違いない。いつもと違う筋肉もたくさん使っている。
選手はいつの間にか自分の身体能力を自分のペースで高めている。凄すぎる。

しばらくすると、参加した高齢者の健康度は格段に高まるらしい。
歩けなかった人が歩けるようになった事例もあるらしい。
誰もが参加できて、それぞれのペースで成長できる。そして何より楽しい、盛り上がる。
棒と椅子とサッカーボールしか使ってない。社会にこうした仕掛けをたくさん生みたい。