加えて、成長する。

直近の状況は見てはいないが、この10年、日本のモノやサービスの安さが加速している。
絶対的な価格もそうだが、一連の購買プロセスの品質の高さまで考えると安すぎると思う。
お客様に少しでも喜んでもらえるように、何十年も値段を変えない飲食店さえ存在する。
値付けに、日本人のおもてなしの心や奥ゆかしさが、そのまま現れているのかもしれない。

日本では販売価格を、原価の積み上げに少しばかりの利益を加えて決める事が多い。
類似の商品やサービスの値段と比べて、同等もしくは少しでも安くと考えることも多い。
その際、利益が少なくなるのであれば、なんらからの工夫で原価を下げていく。
改善がとてもうまいので、原価の調整にも成功する。それが繰り返され価格が下がる。

モノやサービスに直接的に掛かる部分だけを原価として捉えていることも多いと思う。
本来なら、お店は場所としてのコストに加えて、居心地のコストをもっと原価に加えてもよいはずだ。
飲食店なら、食器、ユニフォーム、そして小物まで統一感がある心が落ち着く空間は価値だ。
こんな状況を作り、しっかりと販売価格に加えて、より大きな満足感を感じてもらうのが良い。

味プラスアルファの部分に視野を広げる。飲食の味に留まらず、空間を満喫してもらう。
だから味の原価に加えて、空間の原価も足す。何を足すかは相性や自分の意思で決めれば良い。
大事なことは、常に何かを足してみたらどうだろうと、頭を回転させて試してみることだ。
継続も大事だ。でも、その上に何かを常に載せていくことで、新たな成長を加えていきたいと思う。