自分自身で「律」を設け、それに従って判断・行動する。これが自律的の意味だ。
「律」とは規範やルールのことで、それを定めるにはその根底に理念や信条、価値観が必要だ。
「律」は羅針盤と言っても良い。羅針盤を堅固に持っているとブレない判断ができる。
他律的は自律的の反対の意味で、他者が儲けた律によって行動する状態だ。
個々人はそれぞれ多かれ少なかれ、自律的な側面と他律的な側面を持っていると思う。
ゼロイチではなく、割合の問題だ。ただ、現代では他律的な側面の割合が総じて増えている気がする。
自分の信条に基づいて行動しようにも、どうにもうまくいかない。何をやろうとしても怒られる。
そんな感覚を持ってしまい、諦めという状態に自分を閉じ込めてしまっている人も多いかもしれない。
個人で「律」を堅固に持つ事がなかなかうまく行かない中、新たな動きが出ていると感じている。
それはパーパスだ。企業経営の中で5年くらい前から注目されている手法だ。
企業の存在意義や目指したい方向性を羅針盤として掲げたのがパーパスだ。企業活動の拠り所だ。
要は企業で「律」を作ろうとしているのだ。しかも個々人が共感する「律」として掲げていく。
このパーパスの出現はとても大きなインパクトがあったと思う。従業員の自律性を高める。
自分が考えた活動がパーパスにこういう形で貢献できる。説明責任を果たす事ができるのだ。
上司も活動の指示の具体度を下げることができる。若い人の知恵が形になるチャンスが生まれる。
指示待ちでいいと諦めていた人の持っていた「こんなことができるかも」を呼びさます。
自律的とは、現場の人たちの創意工夫を呼び覚ますもの。現場の考える力が引き出されている状態。
ただ、現場の人たちの活動を一つの方向に揃うには、目指したい姿の共通認識が必要だ。
元気玉はとても大きな共通の目的のために、孫悟空が集めた。パーパスは大きな共通の目的でよい。
それに向けて、個々がそれぞれの持つ力を発揮して、積み重ねの中でやり遂げる。これが自律的だ。