潜在顧客からの問い合わせに素早く的確に応えていく。営業にとって重要な能力だ。
せっかく興味を持っているのだから、しっかりと良さを伝えて購入に繋げていく。
ただ、これが通じる世界と通じない世界があるような気がする。その境目は手離れの良さだ。
手離れの良いものはユーザーがものの中身が既に良く分かっていて、自分で扱えるものだ。
何が出来て、何が出来ないのかが明確で、使い方に色々なイメージが湧いている。
そんな状態なので、これに幾ら払っても良いかの経済合理性や満足度が想定できる。
故に、意思決定は容易だ。いま自分が欲しい物の中での相対比較となる。優位であれば購入だ。
購入した後も、何か質問などは出てくるだろうが、能動的にどんどん活用していくことになる。
一方、手離れが良くないものはかなり状況が変わる。そもそもそれで何ができるかが分からない。
基本的な機能は頭に入るが、それを使う場面でどんな使い方であれば効果が高いかが分からないのだ。
これまでにないもの、新しい道具などはそうなりがちだ。とにかく手探りで試すことになる。
当然、それを作った側との対話が必要になる。こんな使い方はどうですかと提案が必要だ。
どれだけ妄想を尽くしたとしても、最初は的外れな提案になることも多いだろう。
でも、潜在ユーザーとの対話を重ねていく中で、次第に勘所が見えてくる。解像度が上がるのだ。
すると、あのユーザーにこの使い方を提案すれば、経済合理性や満足度を担保できる。
そんな感覚が生まれてくる。ターゲットユーザーが見え、営業の確度が上がってきたのだ。
いわゆる仮説から始まったものが、確からしい仮説へ、さらには確かな仮説へと進化していく。
営業職の人で時間が足りないと言わない人の行動を見ると、この仮説の進化をうまく進めている。
当たり前だが、対話を重ねると共に成約確率が上がるので、結果としてコンタクトする数が減るのだ。
新たなものを売る。手離れが悪いものを売る。成約確立を上げる仮説進化が成功の鍵だと思う。